
ご覧のように平地いっぱいに鎬地まで達するほどに広がる飛び焼きがあります。(内曇刃砥まで終えた状態)
焼き自体は決して硬くはなくむしろ軟らかく粘りのある刃味で実際に非常に鋭い刃となりました。
ただこれだけ焼きの面積がありますとさすがに砥石の効きは遅いので当工房所有の中でもトップクラスに位置する”力がある”内曇刃砥の出番となりました。

”力がある”とは”研磨力”のことですが今回使ったこの3丁は特に抜群の研磨力がある刃砥であります。
どの御刀を研いでもサクサクとした好感触、しかしながら巣板砥のような荒さはなく羽二重のようなきめの細かい砥目になりますので今回のような皆焼には最適と言えるでしょう。
普通の研磨力程度の砥石ですと無理に効かせようとするあまり地金にヒキツレを起こさせて裂けてしまったり刃の谷や飛び焼きと飛び焼きの間の地部を凹ませてしまったりしますが研磨力のある刃砥なら見る見る間に滑らかでしっとりした潤いも出てまいります。
今回の皆焼のような御刀にも柔軟に対応するために、そして大切なお客様の為に今ある”力がある砥石”は大切に、そして今年も良い砥石を求めていかねばと今日の作業をしながら感じました。
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